Q & A(高校生からの問い合わせ)

大学説明会「学科質問コーナー」等において



Q1:理学療法士として求められる人材について教えて下さい?
A:理学療法の仕事の対象は患者さん,障害をもった方々です。より良い生活を遅れるように支援してゆかねばなりません。そこには高い知識・技術は当然のことながら,人間性豊かで,人を思いやることができ,自分の仕事に責任を持てるような人材が求められています。

Q2:理学療法士に求められる資質を具体的に教えて下さい?
A:多くの理学療法士は自らを「臨床家」と認識しております。臨床家にとってまず重要なことは,担当する患者さん,障害をもった方の為に「何かをしてあげたい」といった主体的な心情(熱いハート)を持てることです。しかし,それだけでは臨床は務まりません。「患者さんが必要とすることに応えられる」だけの高い知識・技術と客観的な判断力(鉄の頭)も大切です。つまり,理学療法士に求められる資質をあえて言えば,「豊かな人間性と探求心」ではないでしょうか。

Q3:高校生のうちにどのようなことを準備しておくと良いですか?
A:理学療法では,障害をもった方々で,乳幼児や高齢者そしてコミュニケーションが難しい方も支援しております。高校生活の中では,乳幼児,高齢者など様々な方々と心やさしく接する経験をなされることをお薦めいたします。

Q4:高校ではどのような勉強をしていたら良いですか?
A:理学療法の基礎となる勉強は高校では学ばなかった科目が多くあります。しかし,それらの科目を理解するためには,高校で学ぶ教科の理解が重要となってきます。高校のどの教科でも幅広く勉強してください。

Q5:毎年,どのくらいの方が理学療法学科を受験されますか?
A:茨城県立医療大学・理学療法学科では,推薦,前期・後期日程あわせて約300名の方々が受験されます。

Q6:理学療法で「たいへんなこと」「うれしいこと」は何ですか?
A:たいへんなことは,理学療法の対象となる患者さんの機能回復,あるいはより良い生活を送れるようにと支援することに大きな責任があるということです.それゆえに大変やりがいのある仕事で,結果的に患者さんが喜んでくれることが,私達にとっても「うれしいこと」でもあります。

Q7:理学療法士になって「良かったこと思うこと」。または「信念としていること」は何ですか?
A:患者さんの機能が回復したり,安心して日常生活が送れるようになって行く過程で,私達がそれに関われたと感じれた時に,「理学療法士になって良かった」と思います。信念としては,担当する患者さんにとって,「現在,私達に出来ることは何か」と考え,支援してゆくことです。

Q8:理学療法を学ぶことで,どんなことに役立ちますか?
A:理学療法士養成の課程には多く知識と理解(医学,リハビリテーション,障害,健康と社会,身体の動き,生活環境,運動学習と制御など)が必要になってきます。特に「人の生活」に関わる全般的な理解を深めることで,保健・医療・福祉分野は当然のこと,多くの分野でもその知識は求められています。

Q9:病院などで働いている理学療法士を実際に見てみたいのですが?
A:理学療法士が働く施設では,患者さんなどのプライバシー遵守といった意味から,簡単に見学はできません。しかし,(社)日本理学療法士協会では毎年7月17日を「理学療法の日」として,各都道府県の理学療法士会では,施設を夏休みの期間などに施設見学などを企画しているところもあります。(社)茨城県理学療法士会でも高校生を対象に同様の企画をたて,県下高校にその案内をお送りしております。詳細は高校または(社)茨城県理学療法士会までお問合わせ下さい。

Q10:小さな病院では,理学療法士がいても作業療法士はいない施設があるが,作業療法などの行為を行なうためには理学療法士の資格以外に作業療法士の資格も必要ですか?
A:厳密に申し上げますと,両者とも専門的な資格ですが「業務独占」でないため,理学療法と作業療法の業務を区別できない内容もあります。実際に理学療法士と作業療法士が勤務する施設では行なわない業務内容(精神科領域や手工芸等を用いた療法などは除く)も,作業療法士がいない施設では理学療法士が必要に応じて行なっていることもあります。しかし,専門的な作業療法を実践してゆくのであれば,資格取得(この場合,我々はWライセンスと言っております)も必要になってくるかもしれません。本学では,それらの学科間の編入制度はありませんが,養成校のなかにはWライセンス取得のための編入を認めているところもありますので,それらの養成校にお問い合わせ下さい。

Q11:授業は大変ですか?
A:一般大学の大学生活とは全く異なります。本学では学生が主体的に学ぶことを基本としたカリキュラムを取り入れております。そのため,個人学習・グループ学習など,授業以外でも図書館等で自主学習をおこなう時間も必然的に多くなってきます。これを,時間的に大変と感じられるかもしれません。

Q12:理学療法の勉強で何が一番大変ですか?
A:理学療法士は患者さんや障害者の方に対して実際に支援できる能力が要求されます。つまり多くの学問を統合した応用学問とも言えます。そして,高校では学ばない教科ばかりで応用能力が特に要求されます。理学療法の勉強は興味深いものばかりです。しかし,別々に学んだ情報(知識・技術)を統合して蓄えていくことが一番大切なことで,大変なことかもしれません。

Q13:「英語」が重視されているのはなぜですか?
A:理学療法士は資格を取得しても,仕事を進めるために,新しい情報を得ながら生涯学習を続けていきます。国際的には,英語を使用する人口が多いため,それらの(学術)情報の多くは英語で発信されています。つまりに,英語の書籍・文献から情報を得る能力が必要となってくるのです。

Q14:卒業までに実質,どのくらいの学費などが必要ですか?
A:入学金・学費等は条件によって異なりますので大学パンフレットなどをご覧下さい。

Q15:学生寮はありますか?
A:ありません。

Q16:理学療法の「評価」とは難しいものですか,また間違えることもありますか?「評価」の方法を勉強するのは大変ですか?
A:まず評価は何を目的に行われるのご存知ですか?それは患者さんが抱える障害や問題点を抽出するために実施されます。医師が行なう「医学的な検査」と「病気の診断」の過程が,理学療法では「身体機能の検査測定」と「評価」に相当します。この「評価」や「理学療法」そのものは簡単に身につくものではありません。しかし,授業や実習の中で,学習を繰り返すことで,個々の検査手技や評価能力が高まり,障害を統合的に理解し,問題点を明らかにすることが可能になります。
また,プロでも「評価」を間違えることもあります。しかし,間違えてばかりでは困りますが,間違いに気づき,修正できれば,それでよいのです。受験勉強でも同様でしょう。ただこの「気づき」には間違いを認識するための「観察できる眼や手の感覚(感受性)」も重要となります。もちろん,同じ理学療法士から指摘を受けることもあります。その場合,新しい考えを受け入れられる柔軟性も必要となります。すぐに解決できない場合は,問題を放り投げず,長考できるようになることも「評価」を適切に行なえるプロフェッショナルの条件でしょう。

Q17:実習は各学年でどのくらい設けているのですか?「実習」どんなことをしますか?
A:1年次は病院で見学を主とした実習(半日×4回),2年次は患者さんの付き添いを主とした実習(半日×10回)と観察とディスカッションを主とした実習(半日×10回),3年次は患者さんの理学療法評価を主とした実習(8回)と保健センター,在宅訪問および老人保健施設での実習(6回),4年次では臨床総合実習をそれぞれの実習施設で7週間×2施設で実習することになります。

Q18:付属病院での実習以外に,異なる特徴の施設(例:こども病院,介護老人保健施設)でも実習できるのですか?
A:県立こども医療福祉センターは4年次の実習施設に登録されています。3年次の地域理学療法実習では,介護老人保健施設での見学実習が組まれています。

Q19:実習先は,自分で選べますか?
A:実習登録施設は限られていますが,できるだけ希望にそうように配慮していきたいと思います。

Q20:「地域リハビリテーション」を学習する科目では,直接地域に行く実習はありますか?
A:地域リハビリテーションに関する授業として,保健医療福祉論(2年生で学ぶ),地域リハビリテーション学(3年生),地域理学療法学及び地域理学療法学実習(3年生),生活環境論(3年生)があります。直接地域での実習として,学生が訪問する施設には次のようなものがあります。保健医療福祉論(2年)では,県内の市町村役場に行き地域保健福祉計画を調べます。地域理学療法実習では,保健センター,保健所,老人保健施設,訪問リハビリテーションステーション,特別養護老人ホーム,NPO法人等の見学や実習があります。また,病院実習で担当した方が,退院した後に利用する地域施設や自宅を訪問するというかたちの地域実習もあります。

Q21:将来,地域で訪問リハビリテーションを行ないたいが,家の構造の知識などのテーマを扱う授業や実習はありますか?
A:生活環境論では,障害者,高齢者が住み慣れた自分の家で障害を持った後でも生活し易いようにするための「住宅改造案」を作成する授業があります。浴槽のふちの高さや上下できるトイレの種類など,住宅改造案を学ぶための実習設備もあります。 リハビリテーションの立場から,住宅だけでなく障害者が住み易いまちづくりや公共建物等についても学びます。

Q22:「チーム医療」を扱う授業はありますか?
A:4年次に「医療総括演習」があります。これは前期にある総合臨床実習と呼ばれる病院での7週間(フィールドA,Bの2回)の実習後に行われ,実習での経験をつなげていきます。全学科合同で行われる時間もあります。

Q23:「基本的動作能力」とは,具体的にはどのようなことですか?
A:基本的動作とは寝返り,起き上がり,立ち上がり,歩くなどの日常生活を送る中で必要となる動作をいいます。理学療法士などが患者さんの基本的動作を評価し,問題があるときに,我々は「基本的動作能力の低下」という表現します。

Q24:スポーツ分野の理学療法についても勉強できるのですか?
A:スポーツ分野の理学療法をコースとしての設定はしておりませんが,関連した科目を開講しております。ただし,スポーツ分野の理学療法に用いる知識・技術の多くは,他の理学療法基礎科目で学ぶことになります。

Q25:スポーツチームで専属の理学療法士をめざしていますが,免許を取得したらなれますか?
A:スポーツチームでトレーナーをする際に理学療法士の免許は必須ではありません。現在スポーツチームに所属し専属のトレーナーとして活躍されている方の一部に理学療法士免許を取得されている方がいらっしゃいますが,理学療法士免許を取得しているからスポーツチームでトレーナーになれるわけではなく,その人の実力がチームに認められたところによります。したがって,理学療法士養成校卒業後,実績がないまますぐにスポーツチーム専属のトレーナーとして働くことは非常に難しいのが現状です。
                                                    以上